森の中を歩いていると
いろいろな人が、それはそれは
もう忘れたと思ったのに
遠いところから、これはこれは
ご挨拶もほどほどに
あのときの話、ぽつりぽつり
誰も知り得ない、はじめと終わり
昔のことはあとの祭り
でもいったいどうして今日はここまで?
どうやって居場所を知ったの?
森は大きくなることをなまけて
きっと初めからそこにただ広がり
たまにうろうろするわたしを見つけ出して
予約してない録画の続きを見せてくれます
森の中はとても危険
間違いだらけの終わらない試験
ひとり歩くわたしも真剣
泉の底を覗いてみると
尋ねてくる気持ち、今か今かと、これでもかと
もう忘れたと思ったのに
手繰り寄せようと、あの手この手で
でもいったいどうして今日はここまで?
そちらにわたしはいないの?
森は嘘が明らかになることを恐れて
そっと手がかりだけ静かに耳打ちし
単におろおろするわたしを引きずり回して
もう一度会えるなんて下らない妄想を抱かせ
内容のない映画のフィルムを回し続けます